「死ね」と言っただけで?相手が自殺をしたら犯罪になるの?自殺教唆?過去の判例を紹介します。
「死ねよw」
冗談で簡単に口にしがちな言葉ですね。
ただ、「死ね」という言葉を発した後に、その相手が本当に自殺をしたらどうなるのでしょうか。
2021年12月に自殺をした神田沙也加さんが、自殺の直前に恋人であった前山剛久さんに「死ね」と連呼されていたという報道がありました。
昨年12月18日に急逝した女優の神田沙也加(享年35)。亡くなる直前に、交際相手の俳優と激しく口論する音声が存在していることが、「週刊文春」の取材でわかった。中には、「死ね」などと罵倒を受ける場面もあった。(中略)「死ね」という表現も複数回出てくる。前山からの繰り返される厳しい言葉に、沙也加は涙声で応じていた。
引用:ニコニコニュースより
さて、Twitterや5ちゃんねるのネットでは前山さんに対して「自殺教唆では?」という意見があり、少し気になったので調べてみました。
もくじ
自殺教唆とは?
まずは、自殺教唆(じさつきょうさ)とは何でしょうか。
教唆とは、他人をそそのかして、ある行動をさせようと仕向けることです。自殺教唆とは、他人を自殺するように仕向けることです。もっと簡単に言うと、自殺したくなるような状況や気分にさせること、と言えるでしょう。
日本の法律では、刑法202条の自殺関与・同意殺人罪のなかの一つとして規定されており、れっきとした犯罪行為なのです。
自殺の決意を抱かせ、人を自殺させた場合に自殺教唆罪となる。この決意は相手の自由な意思決定による必要があり、暴行や脅迫などでの強要による場合には、その決意は自由な意思決定とは言えず殺人となる。 また、意思能力がなく、自殺の意味を理解していない相手に方法を教えて自殺させた場合にも、その決意は自由な意思決定とは言えず殺人となる。Wikipedia
上の文章にもあるように、暴力や脅迫などで無理やり自殺を迫り、自殺以外に選択肢は無いという精神状態にさせた場合などには、自殺教唆罪でなく殺人罪となる可能性が出てきます。
自殺教唆罪は6ヶ月以上、7年以下の懲役か禁固刑になるとのことです。
自殺教唆が争点となった過去の事件を紹介
自殺関与等被告事件(広島高裁昭和29年6月30日判決)
妻が不倫をしたと考えた夫が被告となりました。妻に対して自殺しますという書面を書かせたり、肉体的精神的にプレッシャーを与えた結果、その妻が自殺した事件です。
この事件で、夫は自殺教唆罪となりました。
父親が中2の息子に自殺教唆(東京地裁立川支部平成27年10月29日判決)
この事件は「連れ子虐待・殺人教唆事件」と呼ばれる事件です。2015年の判決なので、記憶に残ってる人もいると思います。
これは、村山彰被告が妻の連れ子である村山由衣翔くんを虐待の末、「24時間以内に死ね」と自殺に追い込んだ事件です。
中学二年生の由衣翔くんは、
・食事が与えられない(もしくは食べきれないほどの食事を強要される時も)
・無理やり女装させられ、写真を取られる
・トイレに自由に行けない
・日常的な暴力、罵倒
などの虐待を彰被告から受けていたといいます。
由衣翔くんは、彰被告の「生きたいんか、死にたいんか」という質問に対して、「死にたい」と答えたと言います。
そんな精神状態の中で、彰被告は由衣翔くんに「24時間以内に死ね」「お前が死ななかったら俺と弟の2つの命がなくなる」と命令し、翌朝に由衣翔くんは首を吊り亡くなりました。
この事件で、村山彰被告は傷害と自殺教唆の罪で懲役6年の刑を言い渡されました。
慶應大生がLINEで「死ね」→女性が自殺し、逮捕される
この事件は、2021年の神田沙也加さんが自殺したケースに似てるものです。
当時慶應大学の学生だった渡辺泰周さんが、交際していた同級生の女性にLINEで「手首切るより飛び降りれば死ねるじゃん」と送りました。そして翌日、その女性がマンション8階から飛び降りて自殺したという事件です。
この女性は、もともとメンタルを病んだ、いわゆるメンヘラだったそうです。リスカをしたり、オーバードーズをしたりと、精神的に不安定だったという記事も出ています。
その精神状態を認識しながら「死ね」とメッセージを送った男性は、2014年2月21日に逮捕をされました。(ちなみに、女性が自殺をしたのは2013年11月9日です。)
さて、この男性はどんな判決を受けたのでしょうか。結論からいうと、彼は無罪になりました。逮捕から3日後の2014年2月24日に、東京地裁が勾留要請を却下し、釈放となりました。つまり、裁判所が「この人を逮捕して刑務所に入れるのは不適切」と判断したということです。
これは予想ですが、男性のLINEが自殺のきっかけになったにせよ、自殺した女性側もリスカや自殺をほのめかすメールを送ったりなど、原因があったからではないかと。
これは神田沙也加さんと前山剛久さんのケースに非常に似てると、個人的には考えてしまいます。
「死ね」という言葉は慎重に
と言ってる私も、この記事を書く1週間前に友達に「お前死ねよw」と言っています。だってあいつがモテ自慢するんだもの。
ただ、よくよく考えて見ると、「死」という言葉って重いんですよね。
神田沙也加さんのケースでは、前山剛久さんが4回以上「死ね」といったようです。私は彼のその言葉が自殺のトリガーとなったのだと考えています。精神的に追い詰められてる人には、死ぬのに充分すぎる言葉。
前章で事例紹介した、「死ね」とLINEで送った元慶應大学生もそうですが、一生の後悔を背負うことにもなってしまいます。
自殺教唆罪や殺人罪などの刑事訴訟や、損害賠償や慰謝料などを争う民事訴訟。そういった法律上のリスクはもちろん大変です。でも、それ以上に他人の命や人生を潰してしまうことが最大のリスク。
まずは相手の死を願うような状況や精神状態にならないように、人生をケアできるようにしていきたいですね。

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