うけい(誓約)とは?天照大御神も行った和解・契約の儀式について!

日本の神話を読んでいると、「うけい」という言葉に多く出くわすことがあります。
聞き馴染みのない言葉ですが、結構重要なシーンで出てきますね。
今回は「うけい」について解説していきます。
漢字で書くと、
宇気比、誓約、祈、誓
などと様々な表記がありますが、この記事では「誓約」という文字で表記いたします。
もくじ
「うけい」の誤解と本当の意味
さて、この「うけい」は日本神話上では「占い」という形でストーリーに組み込まれています。
そのため解説サイトを見ると、うけいは占いの事だとして説明しているところがほとんどです。
うけいは、古代日本で行われた占いである。宇気比、誓約、祈、誓などと書く。ある事柄について、『そうならばこうなる、そうでないならば、こうなる』とあらかじめ宣言を行い、そのどちらが起こるかによって、吉凶、正邪、成否などを判断する。 日本神話では、重要な場面で誓約が行われている。
引用:wikipedia「うけい」項より
例えば、「もしこのゴミを投げてゴミ箱に入ったら、好きな人から連絡が来る」なんていうのはみなさんやった事ありますよね。
こういった占いめいたものが、日本神話で神様が行なったうけいの儀式になります。
ただしうけいは「誓約」とも表記されます。
占いが誓約とはおかしな事ですよね。
ここからも分かる通り、「うけい」の本質は占いや神がかりにはありません。
その本質は、和解・契約をすることにあるのです。
神話上で神々が行なった「うけい」という占いはの奥底には、和解や契約といった本質が隠れているのですね。
そんな「うけい」の本質を、日本書紀や古事記など日本神話のストーリーから紐解いてみましょう。
日本神話におけるうけい(誓約)は、疑念や対立シーンで行われる
さて先ほど「うけひ」の本質は、和解や契約であると書きました。
それは日本神話内で「うけい」が行われるのは、対立をした時や疑念が湧いたシーンで行われるということにも見られます。
神話でうけいが出てきたのは3回。
そのストーリーすべてをご紹介します。
アマテラスとスサノオ
地上にスサノオという乱暴な神様がいました。
スサノオが兄弟であるアマテラスに会いに天(高天原)へと行った時の話です。
もともと乱暴狼藉の行いをしていて評判が悪いスサノオ。
兄弟であるアマテラスに「お前、天を乗っ取りにきただろ??」と疑われてしまいます。
ここでアマテラスとスサノオは「うけい」をするんです。
お互いの持ってる武器などを交換
↓
受け取った相手の武器を噛み砕く
↓
その破片から神様が生まれればスサノオが高天原を乗っ取る気はないということ
こういった「うけい」を行なった結果、無事に神が生まれたので、スサノオの心が清浄であると証明されました。
ニニギと木花咲耶姫
天孫降臨にて、高天原から地上に降臨したニニギのお話です。
地上に降り、木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)という美しい神様と結ばれました。
しかし、夜を共にした次の日に木花咲耶姫は妊娠。
「次の日に妊娠とか早すぎだろ!誰の子だよ!!」とニニギは木花咲耶姫を疑います。
そして木花咲耶姫は、お腹の子供がニニギの子供だと証明するために「うけい」を行うのです。
出産時、木花咲耶姫が自分から産屋に火をつける
↓
無事に生まれればニニギの子
こういった「うけい」をして、無事に木花咲耶姫は出産をしたため、その子はニニギの子供だと認められました。
高木神とアメノワカヒコ
アメノワカヒコという神様は、葦原中国(日本)を統一するために遣わされた神様です。
ですがあろうことか、敵である大国主の娘と結婚してしまうのです。
アメノワカヒコが天に戻ってこないことを不審がった高木神が、雉の鳴女という神様に様子を見てこさせました。
ですがアメノワカヒコは、雉の鳴女を矢で射って殺してしまうのです。
そしてその矢は、雉の鳴女を貫通して高天原の高木神まで届きました。
高木神は「どうなっとんねん」と疑念を持ちます。
そしてここで「うけい」をします。
この矢を地上に投げる
↓
アメノワカヒコに当たらなければ、アメノワカヒコに謀反の気はない
アメノワカヒコに当たれば、高天原への反抗の気がある
↓
矢を投げたら見事にクリーンヒット!
ということで、アメノワカヒコは矢に当たって死んでしまいました。
神話上で3回うけいが出てきますが、心に悪い気を持っていた例はこのアメノワカヒコのみとなっています。
うけい=和解で、新しいものが生まれる
さて、うけいは和解と繰り返し書いています。
神話上で、「うけい」により心の清浄を証明された例は2件ありましたね。
アマテラスとスサノオ、ニニギと木花咲耶姫の2件です。
この2件で共通しているのは、うけいで疑いが晴れた後に神様が生まれることです。
一般的にも和解をすれば何か新しいものが生まれることから、神を生んだ「うけい」は和解の手段であると考えるほうが自然です。
また日本神話の神は、地方の豪族や権力者を指すことがしばしばあります。
そして「うけい」をして神様が生まれたということは、和解後に新たに地方の豪族or共同統治が生まれたということと推測できます。
もしかすると、お互いの家や勢力の間で政略結婚的なことが行われたのかもしれませんね。
誓約(うけい)は受け日(うけひ)
「うけい」は「受け日(うけひ)」とも書けると考えます。
日という文字は、神様や霊などという意味もあります。
その人やものの中の「気」のようなものを指していうことが多いようですね。
相手の中の気や霊を、自分の中に受け入れること。
それが占いを通じてでも、政略結婚を通じてでも、相手の真心を受け入れて新しいものを作り出していく。
「うけい」というものの本質は、こういったものだと思います。
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